新規上場!米先物に安易に手を出してはいけない

新規上場!米先物に安易に手を出してはいけない
「待望の米先物取引が72年ぶりに復活!我が国が誇る食料資源として、東京市場を舞台に世界へ羽ばたきます。2011年8月8日(月)TAKE OFF」
…などというPRをいたるところで目にします。
当ブログに来ていただいている方は、商品先物をトレードしている方も多いと思いますので、実際このようなPRを目にしているのではないかと思います。確かに米の先物は魅力的です。
しかし、何故この時期に米の先物が上場されたのか?
とりあえず「米先物」については、やはり検証する必要がありそうなので、早速調べてみました。米の先物についての注意点をまとめておきます。
まず、米先物の取引初日8/8の東京市場では、ストップ高の様相を呈して値がつかないまま取引を終えています。大阪市場では1.4320万円の高値スタートで、終値は1.4620万円となっています。
この理由を各報道機関では(大雑把に)、初日の高値は震災や豪雨で今年産米の生産減が予想されることが要因ではないかとしています。さらに紙幣の希薄化(通貨の信用不安)が進みインフレやスタグフレーションが視野に入っている中、まともな投資家には魅力に見えると思います。(当ブログでも現物の重要性は常に記事にしてきました。)
このような理由を書かれると納得してしまいそうですが、そうは簡単ではありません。
今、東北の新米は値がつかないほど、敬遠されているということが問題になっています。放射性物質汚染を危惧している人は、古米(22年度産)を購入しています。これは風評被害などということではありません。消費者は購入するものを選ぶ権利があります。東北のお米を買うも買わないも消費者の自由です。今回の東北の農家に対する補償は、消費者に東北の米を買えということではなく、国と東電が責任を持って行う必要があります。東北の農家が受けた被害の責任は原発を推進してきた日本政府にあるわけです。そして、少なくとも原発を容認してきた国民にも責任があるということです。なので、消費者に風評被害などと言って煽るのではなく、日本政府(税金)と東電が救済すべきでしょう。
話がそれたので、米先物の話に戻ります。
東北の新米は、値がつかなくなっていることは分かってもらえたと思えます。では、個人投資家が米先物で買っているものは何でしょう。
東京穀物商品取引所のホームページで調べたところ、
米トレーサビリティ法に基づく記録がなされかつ産地情報の伝達が可能な米穀であって、農産物検査法に基づく検査規格水稲うるち玄米1等合格品(正味30kg紙袋入り)の当年産のうち、以下の産地品種銘柄。「関東産コシヒカリ」(茨城、栃木、千葉産)
…となっています。
ここで、すでに怪しいと思うのが、とかく放射性物質汚染に関与している地域のお米だということです。さらに、先物をしている人は分かると思いますが、先物取引には現受けという方法があります。米の先物取引の単位は6000kgで、現受けは12000kgとなっています。12tの米を現受けするかというと疑問ですが、現受けの受渡供用品として示されているのは、
コシヒカリ茨城県産、栃木県産、千葉県産、福島県産[会津]、福島県産[中通り]、福島県産[浜通り]、新潟県産、富山県産、石川県産、福井県産、長野県産)ひとめぼれ(岩手県産、宮城県産)、あきたこまち秋田県産)、山形県はえぬき、北海道産ななつぼしきらら397青森県産つがるロマン・まっしぐら<計19銘柄>
…となっています。
これこそ現在敬遠されている銘柄のオンパレードと言えます。本来ここら辺の銘柄が売れなかった時の補償は先ほど述べたとおり、日本政府(日本国民)と東電が行うべきです。個人に負わせるものではありません。
さて、原発被害や気候による不作のせいでお米の値段が上がると思っている人が、購入しているものが、原発被害や気候による不作の地域のお米だったらどうでしょう。
まず、見なければいけないのは、新米が市場に出てからの値動きです。現在ストップ高の様相を呈している米市場の価格は、東北地方の新米が全く売れなかったときに急落する可能性が高いということです。
政府が今この時期に米先物を上場させた理由は、東北地方の23年度新米が売れなかった時に、政府が補償するのが嫌だから個人投資家にも損をしてもらおうと考えているからではないでしょうか?
繰り返しますが、今回の放射能汚染は、日本全体の問題です。それは国が責任を持って補償すべきです。風評被害と言っては一般消費者に押し付けたり、新規上場などして個人投資家に押し付けたりするべきではありません。
米の先物は投機で勝負するなら何も言いませんが、資産保全のために真面目に投資するとしたら要注意ということです。価格が安定してからでも遅くはありません。
ちなみに現受けしても12tの米など個人ではどうすることもできません。
今日の相場
USD/JPY 77.07
EUR/JPY 109.94
金(国内小売)  4635円/g
白金(国内小売) 4599円/g
為替介入を行って4.5兆円も使った効果は全くなかったということが分かってもらえたでしょうか?この分のお金はめでたく米国財政赤字の補てんに使われてしまいました。今日はトレードを詳しく分析する時間が無いので、いつもと同じく大雑把な意見になります。(その内ちゃんとテクニカル分析も内容に織り込みます。)
注意することは1つだけです。USD/JPY76.00付近では再度日本政府が為替介入を行う可能性があるということです。短期トレードをしている人は注意して下さい。G7などはまだ本格的に動けないと見ています。世界協調介入の可能性は、個人的には極めて低いと思っています。中〜長期投資ならUSD/JPYは下落するしかありません。
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