時価会計基準緩和の功罪

時価会計基準緩和の功罪
米国の住宅ローンの総額は1300兆円で、このうちの500兆円を住宅公社のファニーメイとフレディーマックが保有していました。その500兆円のうちの200兆円がサブプライムローンで、不良債権となったのです。そしてこのうちの150兆円を世界の投資・金融機関が保有していることが判明し、市場は大混乱に陥ったのです。また、金融デリバティブ商品の中にCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)という、各種ローンや証券がデフォルト(債務不履行)したときの保証を行うという金融商品があります。このCDSの取引残高が6200兆円ありますが、各種ローンや証券に貸し倒れが生じたらCDSの支払いを実損で保証しなければなりません。CDSだけでも不良債権が表面に出てくれば、世界恐慌突入ということになりかねないので、米国は時価会計を投げ出すしかなかったのです(当然問題はCDSだけではありませんが…)。時価会計を投げ出すことにより、米金融機関の経営実態を市場参加者からは隠すことになります。これは、情報の隠蔽かつ究極の問題の先送りと言わざるを得ません。
今回の金融危機は、緊急事態なので世界恐慌を回避するためと割り切ってしまえば、止むを得ない措置だともいえますが、その間に経済を回復させてこそ、この隠蔽工作も功を奏するというものです。しかし、残念ながらこの状況を乗り切るのは非常に難しいでしょう。厄介なのは、今後も時価会計を凍結し、粉飾まがいの決算報告を行うことにより、何年もこのような状況が持続してしまうことです。そうなれば今後、市場参加者(投資機関や投資家)は、世界恐慌という地雷原の上をおそるおそる歩きながら、投資活動をしなければならなくなります。
さて、バンクオブアメリカの決算は大幅黒字となりました。今回は、時価会計の緩和による決算は行ってないとのことですが、怪しいものです。米政府が各銀行にストレステストに関して、マスコミに口を開かないように指示を出しているという情報もあります。バンクオブアメリカの決算に、時価会計緩和は行っていないと言っていること自体が、問題の深刻さの裏返しなのです。粉飾しなければ乗り切れないところまで追い詰められている証拠です。今回のバンクオブアメリカの決算が時価会計に準じているなら、何故大幅黒字になったのか…。要は、メリルリンチ買収に伴う何か解らない数字をあれこれして、前年同月比3.5倍の黒字をたたき出したのでしょう。メリルリンチの資産分を上乗せしただけ?(よく解りませんが…)
ちなみに、金融デリバティブ商品の総額は2京円とも言われています。…もう理解不可能な金額です。この中に一体いくらの不良資産があるのか、考えただけでも怖いです。
(追加)NHKで金融デリバティブ商品の総額は6〜7京円と報道されていました。
余談
ちょっと2京円が、どんなものか考えてみました。100万円の札束の厚みをはかってみると1cmでした。となると2京円は100万円の200億倍なので200億cmということになります。200億cmは20万kmということになりますが、月までの距離が38万kmということを考えると、もう笑うしかありません。もともと金融デリバティブ商品の総額は2京円とも6京円言われていますが、2京円か6京円かなんてアバウトすぎます。しかし、本当の数字なんて、誰にも解らないし、少なくとも2京円くらいはあるだろうということでしょう。各国の中央銀行がマネーサプライを操作し、経済を調節しているなんてことがバカバカしくなる数字です。もはや市場は、レバレッジを利かせたカジノと化しているのです。
今日の相場
USD/JPY 97.86
EUR/JPY 126.44
金    2965円/g
プラチナ 3967円/g
4/9に記事にしましたが、このまま株価が下がり円高に推移すると、プラチナの調整に入るかもしれません。そうなると、逆に金はここら辺で調整が終わる可能性が高くなってきました。ということで、ここ数日でプラチナを売却決算します。要は、プラチナを売って金を買い、プラチナを安値で買い戻すという作戦です。もし、予想に反したら金の調整局面が続くはずなので、様子をみて金の買い増しをしたいと思っています。
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