財政危機が中東欧諸国に拡大

財政危機が中東欧諸国に拡大
8日のニューヨーク金先物市場では、5月の高値を更新し1245.60 USD/ozまで上昇しました。欧州の財政危機がギリシャなどの南欧諸国から東欧諸国に拡大するとの観測が依然として強く、外国為替市場でユーロが売り込まれ、リスク資産からの資金流出が継続、安全資産の代表格である金先物が買われたとされています。
中東欧諸国の経済規模は、ドイツなどと比較すると小規模で、ユーロ加盟国と違い独自の金融政策を行うことができるため、必要以上に危機を煽る必要はないと思いますが、EU圏全体としては悪材料であることも確かです。
中東欧諸国で、世界経済に影響を及ぼす程の経済規模の国を挙げるとすればチェコポーランドハンガリールーマニアとなるのでしょう。その他の中東欧諸国といえばスロヴァキア、スロヴェニアクロアチアボスニア・ヘルツェゴヴィナセルビアモンテネグロマケドニアアルバニアブルガリア、バルト3国、ベラルーシウクライナモルドヴァなどという国がありますが、世界経済に深刻な影響を及ぼす程の経済規模の国ではないでしょう。
個々の国をみると、例えばウクライナなどもリーマンショック後は、ウクライナの通貨であるグリブナの通貨価値は約50%も暴落していますが、ウクライナの財政悪化が世界経済に与える影響はほとんど無いといえます。(世界経済に影響がないからといって、問題を無視できるということではありません。)
要するに、
(1)中東欧諸国でギリシャ程度の経済規模の国であるチェコポーランドハンガリールーマニアなどは、ユーロに加盟していないので、財政不安が起こっても独自の金融政策を行うことができる。
(2)その他の中東欧諸国で、ユーロに加盟している国の経済規模は小規模なので、世界経済に影響を及ぼすとは考え難い。
などの理由から、中東欧諸国に財政危機が拡大するという程でもないと思われます。
しかし、残念ながら市場心理はそうはとらえてくれないでしょう。先物金価格の高値が更新されましたし、今後もヨーロッパ全体の信用リスクは、更に高まると考えた方が無難でしょう。
ちなみにユーロ安が進むことによって、ドイツやフランスの貿易が有利に働くことも忘れてはいけません。今後、ユーロ安が行き過ぎて困るのは米国といえるでしょう。そろそろ米国が何かの動きを見せるかもしれないので、ユーロを強気で売っていくのにも注意が必要な水準となっています。もちろん日本も困るのですが、日本はおそらく蚊帳の外でしょう。
今日の相場
USD/JPY 91.33
EUR/JPY 109.06
金(国内小売)  3849 円/g
白金(国内小売) 4813円/g
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